心霊見て
近所のおじさんが死にました。
そのおじさんはよく、わたしがひとりで壁当てしいると、バットを持って出てきてノックをしてくれました。
ある時、冗談でそのおじさんに言いました。
「おっちゃん死んだら、化けて出てな。いっぺん幽霊見てみたいねん。そしたら、ぼくもおっちゃんの頼み聞いたるわ」
おじさんは苦笑しながら
「ええよ」
と言いました。
それから間もなくのことです、おじさんが亡くなったのは・・・。
そして、おじさんはわたしが頼んだとおり、霊として現れるようになりました。
家屋や電柱の物陰からわたしをジッと見て、何やら小声でブツブツ言っています。
それは「心霊見て、心霊見て」と言っていました。
おじさんの霊は毎日しつこいように出ました。
そして、ある時。
「心霊見て、心霊見て」
「今見てるよ」
「心霊見て」
「だから今見てるって」
あまりにしつこいので、わたしは怒って近くへ寄ってみました。
近くで聞くとそれは「心霊見て」とは言っていませんでした。
「死んでみて」
と言っていました。
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