1000人以上の人を喰ったスコットランドの食人伝説『ソニー・ビーン』

15世紀ごろのスコットランド。町はずれの間道で、異様な強盗集団が、一組の夫婦を襲う事件が起きた。

強盗集団は、妻の腹を裂き、瞬く間に喰い殺してしまった。
目の前で妻の無残な死に様を見せつけられた夫は、逆上し、予想外の抵抗を見せた。
そこにたまたま通りかかった大商隊を見て、強盗集団は夫の殺害を諦め、逃げ出した。

このことは直ちにスコットランド国王ジェームス1世に知らされた。
以前から、異様な強盗集団の報告を受けていた国王は、直ちに400人の軍隊を引き連れ、自ら事態の収拾に向かった。

強盗集団が逃げこんだと思われる海岸沿いを中心に、捜索が行われた。
その足取りはなかなかつかめずにいたが、1匹の猟犬が吠えながら、波打つ岩場へ駆けだしたことで急変した。
間もなく洞穴が発見された。
その中はおびただしい数の人肉や人骨、盗品が散乱しており、鼻をつく異臭が漂っていた。
さらにその奥から、身を隠していた48人の男女が捕縛された。

彼らはソニー・ビーン一家。
人目に付きにくい海辺の洞穴で、隠れて暮らす48人の大家族であった。

若い頃、ソニー・ビーン(本名:アレクサンダー・ビーン)は日雇いの重労働を嫌って、家を飛び出し、知り合った女性と盗賊をしながら洞穴で暮らすようになった。

ふたりは性欲旺盛で男8人、女6人の子供をもうけ、その子供たちも近親相姦を繰り返し、気づけば48人の大家族になっていた。

ビーン一家は連携しては、間道を行く旅人を襲撃殺害し、金を奪った。
所持品はどんなに高価な物であっても、そこから足がつくことを恐れて、買取業者には持ち込まずに処分した。

それだけでは、飢えを満たすには不十分なため、死体を洞窟に持ち帰り、その肉を食べていたという。

彼らは25年以上もの間、1000人以上の人を襲い、その肉を喰らい、または死体を解体して、干物や塩漬けにして保存食にしていたという。

ビーン一家は街へ連行され、処刑された。
男は手足を切断され、失血死するまで放置、女はその様子を見届けさせられた後、火刑にされた。

ソニー・ビーンの最期の言葉は、

「これで終わりだと思うなよ。終わりなんて来ないのだからな!」

実はこの時、兵が捕らえた人数は46人で、2人取り逃がしていたという。

性欲旺盛な血筋なだけに、今もその子孫の存在が囁かれている。

画像引用元:https://culturacolectiva.com/history/sawney-bean-legend