日本で超能力裁判が実際にあった?!『長南年恵(おさなみ/ちょうなん としえ)』
明治28年7月の大阪にて、一人の女が医師の資格を持たずに医療行為を行ったとして、詐欺容疑で逮捕された。謎の水を「神水」「霊水」と称し、万病に効くとして、人に飲ませていたのだ。
女の名前は「長南年恵」。
年恵の地元の山形県鶴岡市では「長南」を「ちょうなん」と言い、大阪で逮捕されたときは「おさなみ」と名乗っていた。
「としえ」も「年恵」を名乗っていたが、本名は「登志恵」であった。
年恵には逮捕歴があった。
その時も詐欺容疑で60日間拘留されたが、証拠不十分で釈放されていた。
その60日の拘留期間中の様子はこう・・・。
一切の排泄物がなかった。
許可されていた入浴を一切しなかったが、髪つやがよく体臭もなかった。
ほとんど食事を摂らなかった、
見かねた看守から強制されたときに、しかたなく少し口にする程度で、最後の一週間は何も食べなかった。
「神が降臨される」と言ったときに、どこからか笛や鳴り物の音がした。
などの奇跡を起こしていた。
地元では。幼少の頃から、物欲もなく、食事を摂ることもなく、霊媒によって病人や悩みのある人を救い「極楽娘」「年恵観音」と呼ばれている人物であった。
それから2度目の逮捕を経て、大阪での逮捕は3度目である。
裁判は神戸地方裁判所で行われた。
それまでと同様、今回も証拠不十分として、年恵に無罪が言い渡された。
このとき、裁判とは別に、興味を持った弁護士たちの要望で、神水を呼び出す実験が行われた。
年恵は全裸で身体検査を受けた後、精神集中のために別室で一人になると、5分も経たぬうちに、神水で満たされた瓶を持って出てきたという。
この神水で満たされた瓶は、裁判官が懐に忍ばせて大切に持ち帰った。
このことは当時の大阪毎日新聞は「神水を天よりたまわるなり、とにかく不思議なり」と伝えた。
その後、年恵は「自分は2か月後に死ぬ」と予言し、その言葉どおり2か月後の明治40年10月29日に44歳で逝去した。
長南年恵は地元の山形県鶴岡市の南岳寺にある長南年恵霊堂にて、その遺品を祀り「淡島大明神」として、今も人々に崇拝されている。
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