地震予兆?関東で増えている地震と異臭

2020年6月10日

先月20日から22日までの48時間以内に東京で震度1以上の地震が7回続いた他、地鳴りがしたという報告や、6日4日には神奈川の三浦半島東部側の沿岸部を中心とする広い範囲で異臭がするという騒ぎがあり、首都直下地震の前触れでは?という憶測が飛び交っている。

では、なぜ首都直下地震の前触れとされるのか?地震の頻度や異臭は予兆なのか?

これらを一つ一つ調べてみよう。

首都直下地震とは

首都直下地震とは、南関東(東京、神奈川、埼玉、千葉)の直下を震源とするM7前後の地震の事で、南関東直下地震ともいう。

200年周期で発生する、1923年の関東大震災や1703年の元禄地震のような被害の大きい海溝型の相模トラフ巨大地震も一緒くたにされることがあるが、厳密には含まれない。

過去の南関東で起きた地震の歴史

東京や千葉などで地震が頻発するとなぜ首都直下地震の前触れと騒がれるのか?

それは歴史的に首都直下地震や相模トラフ巨大地震が繰り返されているからだ。

200年に一度の相模トラフ巨大地震が発生した後、100年間ほど静穏期という大きな地震が起こらない時期に入る。

それから活動期に入るとM7前後の首都直下地震を何度も起こすようになり、100年後また相模トラフ巨大地震が襲ってくる…というパターンを繰り返してきた。

前回の相模トラフ巨大地震が起こったのは1923年の関東大震災。

その100年後は2023年。

いつ活動期に入っても不思議ではなく、それ故に南関東で地震が頻発すると首都直下地震の前触れと警戒される。

過去の南関東付近でのM7前後の地震年表(一部)

☆1703年12月31日 元禄地震(元禄関東地震) ― M7.9~8.5。千葉県の野島崎付近で発生した海溝型地震。死者は津波被害合わせ6,700人以上。

1782年8月23日 天明小田原地震 ― M7.0程度、神奈川県西部で発生した地震。

1812年12月7日 文化神奈川地震 ― M6.0以上、神奈川県東部で発生した南関東直下地震の一つ。 

1855年11月11日 安政江戸地震  ― M6.9~7.4。関東地方南部で発生した南関東直下地震の一つ。死者4000人~1万人余。

1856年11月4日 立川所沢地震 ― M6.0 ~6.5程度。埼玉県中南部で発生した南関東直下地震の一つ。

1894年6月20日 明治東京地震 ― M7.0、東京湾北部で発生した南関東直下地震の一つ。

1895年1月18日 茨城県南部地震 ― M7.2、茨城県霞ヶ浦付近で発生した南関東直下地震の一つ。

1921年12月8日 龍ヶ崎地震 ― M6.4~7.0、茨城県龍ヶ崎付近で発生した地震。

1922年4月26日 神奈川県東部地震 ― M6.8、東京湾の浦賀水道付近で発生した南関東直下地震の一つ。

1923年5~6月 茨城県東方で200~300回の群発地震(有感地震は水戸73回、銚子64回、東京17回)

☆1923年9月1日 関東地震(大正関東地震)  ― M7.9~8.1、元禄地震と同じ海溝型地震。死者・行方不明者105,385人。

1987年12月17日 千葉県東方沖地震 ― M6.7、九十九里浜付近で発生した横ずれ断層型地震。

☆=プレートの境目で起きた海溝型の地震(約200年周期)

地震の予兆

神奈川県の三浦半島で500件以上の通報騒ぎとなった原因不明の異臭問題。

過去には、1995年に起きた阪神淡路大震災でも一ヶ月前から異臭が確認されており、因果関係は0ではない。

ではなぜ異臭が地震の前兆になるのか?

それは小さな地震や地滑りなど、地殻(地面)の下にあるプレートが動くことで岩石の崩壊が重なり、中から異臭が上がりだす。そしてそれは地殻に負担が掛かっている状況と判断することも出来、大地震の前兆ではないかと危惧されるのである。

ただし、異臭騒動は2019年5月8日に千葉市内でも「ガス臭い」「ゴムがやけたような臭いがする」といった通報騒ぎがあったので、異臭がしたからといってそれが必ずしも近日中に起きたり、前兆になり得たりする訳ではなさそうだ。

南関東が活動期に入っていても可笑しくない現状、M7前後の直下地震に備えた対策はしておくに越したことはない。

また過去の直下地震によっては津波を伴うものもあるので、避難道具の用意と避難場所は知っておきたい。

参考動画

首都直下型地震が切迫している理由:「BCPって何?」

 

首都直下地震~そのとき何が起こるのか?~

 

[首都直下型地震シミュレーション]東京湾北部地震 マグニチュード7.3