飛びつく女
通勤途中にいつも倉庫の前を通りかかります。
ある日、いつも閉じられている倉庫のシャッターが、珍しく半分開いていていました。
そのシャッターが半分上がった倉庫の中から、女の人のお腹の辺りから下が覗いていました。
その女の人はいくどもいくども飛び上がっていました。
ジャンプして、上のほうにある何かを取ろうと、懸命に飛びついてる様子が窺えました。
わたしはその様子を見ながら、倉庫前を通り過ぎていきました。
数日後、その倉庫の中から女の首吊り死体が発見されました。
発見されたときには腐敗がすすんでおり、首と胴体が千切れていたそうです。
わたしの話を聞いた会社の同僚は、
「ちょうどその時、首を吊ろうとしていたんだね」
と言いました。
しかし、あとで聞いたところによると、
不思議なことに千切れた頭部は、その腕の中に大事に抱えられた状態だったそうです。
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