煙突上り
隣町に大きな集合住宅が固まってるエリアがあって、その中心部に公園があります。
その公園の裏手に、今は使われていない焼却炉があり大きな煙突が延びています。
子供の頃のわたしたちは、たまにその煙突に上って、遊ぶことがありました。
どこまで上れるか度胸試しみたいな遊びで、てっぺんまで上りきった者はおらず、たいがい途中で恐くなって下りてきます。
ある時、Aがその煙突上りに挑戦しました。
Aは順調に上っていました。
― お、初登頂か? ―
と思われたとき、Aは下りてきました。
Aによれば、
上りはじめてすぐ下を見ると、誰かがあとから上ってきたそうです。
それはこの世の者ではないと、すぐにわかったそうです。
Aは上を目指すしかありませんでした。
そして登頂寸前というところで上を見ると、それはAの先にいたのだそうです。
その焼却炉が使われなくなった理由というのが、かつて人を殺して、そこで遺体を焼くという事件があったからだそうです。
間もなくその煙突には『上るな 禁止』の貼り紙がされました。
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