黒いモヤ

同級生のAが唯一体験した不思議な出来事です。

それは小学高学年の頃、Aは友人と二人で買い物に行こうと歩いていると、

前方から乗用車が近付いてきました。

真っ黒な煙が見えたので、エンジンの調子が悪くて黒い排気ガスを出しているのだろうと思っていたそうです。

しかし近付くにつれ、それは排気ガスというより、その車にまとわりつくモヤのように見えてきました。

その時、Aは横にいた友人に、

「あの車、おかしくね?周りの黒いの何だろう?」

と訊くのですがその友人は、

「特に何にも無いで」

と友人には見えない様子でした。

Aにはどうにも不吉な予感が離れません

その車は何事も無く二人の横を通り過ぎていきました。

通り過ぎていった車にはもうあの黒いモヤのようなものは消えていました。

走り去っていく車を見送って、

「気のせいか」

と前を向き直ると、

そこで血まみれの猫が、飛んだり跳ねたりのた打ち回っていました。

その猫が動かなくなったのを見届けた後、ふたりは「わああああああ」と叫んで、その場を走り去ったそうです。