襖の向こう
小学校の林間学校でお寺に泊まったときのこと。
わたしたちは襖で仕切られた部屋で、それぞれ数人のグループに分かれて寝ていました。
当初はみんな浮かれて、わいわいはしゃいでいましたが、明け方近くになるとほとんどの人が眠りについていました。
私が寝ていると、襖の向こうからヒソヒソと話し声が聞こえてきました。
隣の部屋はまだ起きているようでした。
― うるさいなぁ ―
と目を開けて見ると、襖がスーッとわずかに開きました。
襖の向こうで影が動いているのが見えました。
何人かでこちらを覗きこんで「ヒソヒソ」「ウフフ」などとやっています。
なかなか寝付けずに、少し気が立っていたわたしは、上体を起こし
「早く寝ろよ」
と襖を勢いよく開けました。
そこは押入れでした。
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