街灯の女の子
会社近くに手頃なアパートを見つけたので、さっそく引越しました。
わたしの部屋は2階です。
引越し荷物の整理もだいたい終わって、気付くと日付も変わろうとしている時間でした。
最後に窓にカーテンを取り付けていると、
アパートのそばの街灯の下に、女の子がいるのに気付きました。
その子は縄跳びをしていました。
― 近所の女の子が練習しているのかな? ―
と思い、床に就きました。
0時過ぎた頃に気になって見た時には、女の子はいませんでした。
翌日、同じ時間にカーテンを閉めるときに見ると、
女の子はボールで鞠つきをしていました。
― 家の人の帰りを待っているんだ ―
と思いました。
やはり0時過ぎに見るといなくなっていました。
家の人はその頃に戻ってくるのだと思いました。
次の日には地面に落書きをしていました。
朝見ると、落書きのあとが残っており、そこにロウセキも落ちていました。
いつもひとりなのを不憫に思ったわたしは、家の人が帰るまでなら相手してあげようと、
『いっしょにあそぼう』とそこにロウセキで書き置きをして、会社に出かけました。
その日は急な残業でした。
会社を出ると大雨でした。
日付も変わろうとしています。
雨が降りしきる中、女の子が傘もささずに街灯の下に立っていました。
ただならぬ雰囲気にギョッとしながら見ると、その女の子には足首から先がありませんでした。
女の子はわたしに気付くと追いかけてきました。
わたしは今来た道を必死に逃げました。
日付が変わるまでのほんの数分間の間でしたが、あんな怖いオニゴッコは二度としたくありません。
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