空き家での出来事
小学生の頃のこと。
町の社宅が立ち並んでいた一画が、再開発のため取り壊されることになった。
俺たちはそのうちの一軒の空き家に入り込んで遊んでいた。
塀を伝って2階にあがり、そこの窓から入る。
取り壊されるまでの間、俺たちの秘密基地だ。
俺たちはマンガやカードゲームを持ち込んだ。前の住人が置いていったマンガ雑誌などもある。
小腹が空いたら食べようとスナックや菓子パン、ジュースなども用意していた。
ゲームに飽きて俺たちは思い思いに寝転がって、スナックを食べながらマンガを読み始めた。
その時、突然金縛りにあった。
ミシミシと床を踏みしめる足音がした。
何者かが階段を上がってくる。
白い足が俺の頭の横を通り過ぎるのが見えた。
顔を見るとヤバイ気がしたので、俺は目を閉じてやり過ごすことにした。
それは俺たちの周りをぐるぐる廻っているようだった。
気付くと夕方になっていた。
俺たちは慌てて荷物をまとめてその場を逃げ出した。
見るとパンは踏まれて潰れていた。
そんなもの食べられるはずもなく、かといって捨てるにはもったいない。
ちょうどそこにクラスメイトが通りかかった。
「潰れちゃってるけど・・・食べる?」と潰れたパンを差し出すと、
「潰れたから味が変わるもんでもないだろ」と言いながら、そのパンをうまそうに食べた。
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