はしゃぐ女児たち
ある田舎道で車を走らせていたときのこと。
信号待ちで車を停車させました。
前に停まっている車の後部座席を見ると、ふたりの女児がはしゃいでいるのに気付きました。
どうやら姉妹のようです。
女児たちはわたしに気付くと、座席の影にかくれんぼして突然現れて「バァ!」としたり、アカンベーしたり、面白い顔をして笑わせようとしてきました。
― かわいいなあ ―
と思ってしばらく眺めていました。
ところがなかなか前の車が走り出しません。
いつまでも走り出さないので、長い信号だなと思って前方を見ると、そこには信号がありませんでした。
― なんだ駐車してるだけかよ ―
わたしはふたりの女児にバイバイと手を振って、車を走らせました。
前の車の脇を通り過ぎようとしたときに、その車がボロボロなのに気付きました。
それは何年もその場所に放置された車輌でした。
見ると、たった今まではしゃいでいた女児たちは、車内から忽然と消えていました。
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