すだれ越しの怪
ある夏の夕暮れ時のこと。
わたしは近所の店先で、カキ氷を食べていました。
カキ氷を食べながら、すだれ越しに表の様子を見ていると、前の通りをフラフラしながら歩く女の子に気付きました。
道路の白線の上を綱渡りしているつもりなのでしょう。
両手を広げてバランスをとりながら歩いています。
わたしがカキ氷に目を落としていると、
「あ、落ちた」
と声がしました。
そちらに視線を送ると、女の子が何やらボールみたいなのを追いかけています。
その時、女の子の体に頭部がないように見えました。
それに追いついた女の子は、しゃがんでそれを拾い上げると、頭の位置に乗せて、また綱渡りの要領で両手を広げ、フラフラしながら歩きだしました。
驚いたわたしは、すだれを上げました。
そこには誰もいませんでした。
Photo credit: Anders Adermark on Visual hunt / CC BY-NC-ND
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