夏休み最終日
小学校5年の夏休みの最終日に、友人宅へ遊びに行ったときのこと。
友人は夏休みの宿題の追い込みをしていました。
なんとか終わらせると言う友人の横で、すでに宿題を終わらせて余裕だったわたしはマンガを読んでいました。
机の上には写真立てがあり、そこにはお爺さんの写真が入っていました。
― そういえば最近、友人の爺ちゃん亡くなったんだよなあ ―
などと思いながら、鼻をほじりながら写真立てを眺めていると、血が出てきました。
「やばい、鼻血出てきた。鼻紙ない?」
友人は手元にあったティッシュを箱ごと投げてよこしました。
鼻の周りに付いたであろう鼻血も拭き取ろうと、
「鏡ない?」
友人は机の上の写真立てを投げてよこしました。
「これ写真立てやがな」
とわたしが言うと、友人が怪訝な顔をこちらに向けて、
「それ鏡やで?」
手に取った物を見ると、それは写真立てではなく鏡でした。
そこにさっきまでのお爺さんの姿はありませんでした。
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