台風の霊
先輩が中学生の時の台風の夜の話です。
先輩は仲間達と4人で自室にたむろしていました。
外を見ると、雨はやんでいましたが、風が轟轟と吹き荒れていました。
「川の様子見に行ってみようぜ」と誰かが言いだし、行くことになりました。
雨はほとんどやんでいましたが、風が非常に強く、波が荒れて堤防に激しく打ち付けていました。
堤防の上に立ち、強い風を見て「おしっこ飛ばししようぜ」と話になりました。
おしっこを風に乗せて、俺のほうが飛んだ、いや俺のほうだ、なんてやっていました。
おしっこの糸が一本多いのに気付きました。
仲間たちもそのことに気付きました。
みんながざわついている中、突然一番端っこに立っていた友人が、
「出た、出た」
と慌ててみんなに逃げるように促しました。みんなは言われるまま、その場から走り去りました。
「何が出た?」と言う仲間達に、
「赤ん坊を抱いた女の霊が出た」と友人は説明しました。
「女が立ちしょんなんかするかよ」とあきれて言うと、
「いや、女の霊が赤ん坊におしっこをさせていたんだ」
とその友人は真顔で言いました。
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