床屋
白髪が目立つ年齢になってから、床屋で髪を染めてもらうようになりました。
髪を染めてもらったあと、髪に染料を馴染ませるために20分ほど時間を置きます。
その間に、お昼ということもあって店主は奥で弁当を食べ始め、わたしは眠ってしまいました。
ふと目が覚めると、いつの間にやら隣の椅子に、男の子が座っているのが、鏡越しに見えました。
ひどく眠かったこともあって、わたしは再び眠り始めました。
ポンポンと店主に肩を叩かれ起こされました。
横を見ると男の子はいませんでした。
「だいぶん寝てた?」
と伸びをしながら聞くと
「いえ、ちょうど20分ですよ」
「え!20分でさっきの子の散髪終わったの?」と聞くと、あれから誰もお客さんは来ていないと言うのです。
すると突然、わたしの椅子がガタンと落ちたかと思うと、店内にキャッキャッキャッと男の子の笑い声が響きました。
店主は男の子の笑い声が響く店内を見渡しながら言いました。
「店の前に盛り塩したのですが、それでもきちゃうんですねえ」
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