落ちる黒い影
私が高校一年生の頃、交通事故に遭いH県I病院に数ヶ月入院することになった時の話です。
私が入室したのは4人部屋で、先に入院していた同い年のA子ちゃんと相部屋になりました。
A子ちゃんも私も窓際で、最初は顔を合わせるとぎこちなく会釈していましたが、年齢が近かったこともあり次第に仲良くなっていきました。
そして皆が寝静まったある晩、深夜2時過ぎになにかを叩く物音で目が覚めました。
その音はコツコツと硬いものを叩くような音で、音の場所はハッキリとは分かりませんが、どこからか聞こえてくるのです。
カーテンを開け周囲を見渡しましたが、A子ちゃんのベッドは明かりがついていませんし、視界に映る範囲で特に変わった様子はありませんでした。
私の気のせいだったのかもしれない、そう思い再び眠りに就きました。
しかし、翌日からまた同じ時間に同じ音が聞こえるようになったんです。
流石に不気味に思ったのでA子ちゃんに相談してみましたが、A子ちゃんは全く聞こえていないと言い、益々気味が悪くなりました。
そんなある晩、何時もの時間に何時もの叩く音が聞こえ始めた時、ふと視界の端に何かの影が一瞬映りました。
その瞬間「ドサッ」という鈍い物音が窓から聞こえたので、慌てて窓を開け下を見た途端、貞子のような女の人が私の腕を引っ張り、私を引きずり落そうとしてきました。
恐怖とパニックで呼吸が乱れ、上手く力を入れることが出来ずもうダメだと思ったその時、A子ちゃんが引っ張り上げ助けてくれました。
腰がくだけ、暫くへたり込んだまま呼吸を整えながら、そのまま朝を迎えるまでA子ちゃんとずっと起きました。
あとから聞いた話ですが、以前この病院で自殺した女の子がいるそうで、以来窓際に落ちる影が見えると噂になったそうです。
その病院は今でも運営しているそうなので、ここに入院する人は窓に気を付けて下さい…。
Photo on Visual hunt
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