感覚

2020年6月7日

わたしは地方の大学へ通っていました。
大学に入学したばかり時、その土地の友人の案内で、自転車であたりを散策していました。

ある橋を渡っていると、友人が

「ここ40年ぐらい前に、殺人事件があったんだよ」

と教えてくれました。
それはこの橋の欄干に、あちこちに暴行された痕がある死体が吊るされていた、というものでした。

当時はその町では、抗争事件が多発していたそうで、

「たぶん、見せしめのために殺されたんだろうねぇ」

「首にロープを括りつけて、橋から落としたんか・・・ひどいねえ」

その橋を渡り終えようとしたとき突然、わたしの頭が何者かに掴まれて、引っ張り上げられるような感覚がおそいました。

その瞬間、わたしは気づきました。

- ああ、落とされたんじゃなく、引っ張り上げられたのか・・・ -