ラジオ体操
夏に泊りがけで、野外イベントの夜間警備のバイトに行ったときのこと。
警備のメンバーは3人。
普段は民宿に泊まって、閉園時間1時間前にイベント会場に入ります。
会場の真横に停めてある車の中で交代で仮眠を取りつつ、一人は入口の詰め所で常に待機、もう一人は会場の奥で待機しながら、定期的に巡回するというのが仕事内容です。
朝になると開演前のラジオ体操を聞きながら、車で民宿に帰るというサイクルです。
わたしは夜明け前に車の中で仮眠をとっていました。
唐突にラジオ体操の音楽が流れてきました。
わたしは驚いて飛び起きました。
見ると、辺りは霧に包まれて真っ白でした。
朝はよく霧が発生するので、特に驚きはしませんでしたが、起こしに来てくれるはずの人が誰も来なかったのです。
金網のフェンスの向こうの霧の中で、ラジオ体操を踊る従業員の影がチラホラ窺えます。
寝過ごしたと思ったわたしは、慌てて詰め所に戻りました。
詰め所ではリーダーが椅子にどっかり座ったまま、わたしを見てキョトンとしています。
時計を見るとまだ朝の5時前でした。
ラジオ体操もいつの間にか鳴り止んでいました。
寝ぼけたんだろうとリーダーが笑っているところに、
会場奥で待機しているはずのもう一人のメンバーが飛んできて、霧の中を指しながら言いました
「なんでラジオ体操が流れてるんですか?」
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