つないだ手

幼い子供を連れて、近所のスーパーへ買い物に出かけた時のことです。

買い物を終えてスーパーを出たところで、子供がおしっこに行きたいと言い出しました。

スーパーの建物の横にあるトイレへ誘導すると、少し離れた場所でスマホをいじりながら子供が戻ってくるのを待っていました。

しばらくすると、子供が手をつないできました。

用を済ませてきたと思いました。

つないできた手は濡れていました。

「ちゃんと手拭きなさいよ」

と言いながら、スマホに目を落としながら歩き出しました。

スーパー前の駐輪場を通り抜けようとした時に背後から声がしました。

「お母さん!」

自分の子供の声でした。

見ると自分の子供は、さっきまで彼女がいたところで、キョロキョロしながら彼女を探していました。

しかし、さっきから手をつないでいる感覚があります。

― さっきから私と手をつないでいるこの子は? ―

そこには誰もいませんでした。

彼女が歩いた道のりに、点々と水が滴ったあとが残っていました。