ドアポスト
わたしが1年足らずで引越したアパートでの実際にあった出来事です。
お隣には二十歳ぐらいの若い夫婦が住んでいました。
夫婦には3歳ぐらいの子供がいました。
よく前の廊下を走り回って遊んでいる子でした。
その家族はいつも土日や祝日は家を空けていました。
休みの日は実家に泊まりに行くのだそうです。
ある日曜日の夜7時頃、わたしは買い物に出かけようと準備していました。
ふと玄関ドアを見るとドアポストから子供が覗いていました。
お隣の坊やだと思いました。
― あれ?もう帰ってきたのかな? ―
「おかえり、どうしたの?」
と声をかけるとパタンとドアポストが閉じました。
外に出てお隣を見ると、部屋に明かりが点いていません。
― 一旦帰ってきて、出掛けるとこだったのかな? ―
何か変とは思ったものの、あまり考えないようにして買い物に出かけました。
買い物から戻ってきて、ドアノブの鍵穴にキーを差し込もうとした時、ふと見るとわたしの部屋のドアポストが開いて、子供の目がこちらを見上げていた。
「えぇっ!?」
っと、驚きの声を上げるとパタンとドアポストは閉まりました。
わたしは年が変わらないうちに、そそくさとその部屋を出ました。
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