物置での記憶
友人の幼稚園の頃の話です。
ある時、ケンカをした罰として、物置に閉じ込められたときのこと。
物置の中に入れられると、積み上げられたマットから男の子が顔を出しました。
何か問題行動を起こして、閉じ込められた先客です。
その子は物置の中を色々教えてくれました。
あるダンボールを開けると、替えの下着が入っていました。
別の箱には、古くなった積木などの遊具もありました。
ずいぶん中の事情詳しいようです。
- 何度も物置に閉じ込められてるのかな? -
そのうち扉が開かれ、先生から出るように言われましたが、なぜか出されたのは友人だけでした。
友人は思いました。
- あいつ、よほどひどい悪さしたんだな -
後日、おともだちのひとりがお漏らしをしました。
友人は替えの下着を取りに、物置のダンボールに走りました。
ダンボールから取り出した替えの下着を、先生に渡しました。
先生は驚いて、友人に言いました。
「下着の場所、よく知ってるね?」
「教えてもらった」
「誰に?!」
よく考えると、その幼稚園では悪さすると、給食室のおばさんに預けられ、そのおばさんからゲンコツをいただくか、立たされるのだそうです。
その時は、おばさんがたまたま不在だったためで、物置に入れられることはめったにありません。
「今思うと、顔も名前も知らないやつだったんだよなぁ」
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