いらない
ある一軒のお宅を訪問したときのこと。
玄関チャイムを鳴らすとドアの向こうから、トタトタトタと足音をさせながら「はーい」と幼い子どもの声がしました。
わたしはドア越しに話しかけました。
「お母さんいる?」
「いらない」
そう言うと、その子はトタトタトタと戻って行ってしまいました。
その後、何度も玄関チャイムを鳴らすのですが、出てくる様子はありません。
どうやら幼い子どもひとりでお留守番のようです。
わたしは日を改めて伺うことにして、その場を後にしました。
数日後、そのお宅に伺うとお通夜が行われていました。
その家の若い女性の方が亡くなったそうです。
その方は、人に言えない仕事をしていて、何度も妊娠中絶を繰り返していたそうです。
なお、子供はいない、ということでした。
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