買い物帰りの霊

引越ししたばっかりの友人がまた引越すという。

そこは新しい入居者が、すぐに出て行ってしまうという所謂「出る」物件だ。

夜中に買い物に出た住人が交通事故で亡くなるとうことがあって以来、新しい住人が入ってもすぐに出て行ってしまうのだそうだ。

事故というのは、橋の上でトラックの車体の下に巻き込まれ、首が千切れ飛ぶという悲惨なものだった。

胴体だけが先に回収され、首はのちに川から発見されたという。

友人の話では、

玄関チャイムが鳴らされる「ただいま」と声がする。が、ドアを開けても誰もいない・・・。ただ、床が濡れている。

という現象が起きるのだそうだ。

毎晩同じ時間にこのようなことが起きるのでさすがに参ってしまったそうだ。

「死んだ人が買い物から帰ってきてるんじゃないのかなぁ」

と話す友人にわたしは言った。

「ただのイタズラじゃないのか?」

心霊現象っていうものに興味のあったので、

「とにかくどんなのが出るのか見てみよう」

とその晩、友人の部屋へ行くことにした。

チャイムが鳴った瞬間にドアを開けてやろうと、わたしたちは玄関ドアの前で待ち伏せした。

チャイムが鳴った。

それと同時に勢いよくドアを開けた。

首の無いずぶ濡れの女が立っていた。

腕からレジ袋を提げていた。

「ただいま」と声がした。

霊の姿が消えると、わたしたちは慌ててドアを閉めた。

「首が無かったな?なのに声は出せるんだな」

「レジ袋の中からしてたぞ」