後部座席の男の子
県道で無理な追い越しによる事故が発生しました。
乗用車の追突事故でした。
軽トラックの後部と乗用車のフロント部分は大破していましたが、幸い運転手はどちらも何とも無いようでした。
乗用車の中を覗くと、運転席と後部座席の間に男の子が横たわっていました。
「死んでるのかな?」
と言うと、男の子がむくっと頭をもたげてこちらに視線を送りました。
「なんだ、生きてるじゃん」
やがて現場検証も終わり、レッカー車がやってきて、どちらの事故車輌も運ばれていきました。
後日、またしても同じ現場で事故が発生しました。
今度も乗用車による追突事故でした。
車内を覗き込むと、運転席と後部座席の間に男の子が横たわっていました。
「死んでるのかな?」
と言うと、男の子がむくっと頭をもたげてこちらに視線を送りました。
「なんだ、生きてるじゃん」
― あれ?つい最近同じことがあったぞ? ―
と、思っていると男の子が起き上がり、ドアを開けて外に出てきました。
「ぼく、死んでるよ」
と言い残して、その男の子は野次馬の中に消えていきました。
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