暗闇の泣き声
仲間4人と車を飛ばして天然の露天風呂に行ったときのこと。
そこは川の途中に温泉がわいているところで、辿り着くまで時間はかかるが、無料であるうえにお湯に浸かりながら流れ星も観察できました。
近くの橋のほのかな街灯の明かりと脱衣所の明かりがあるだけで、基本辺りは真っ暗です。
0時頃に現場につくと、想像していた以上に辺りは真っ暗で、手探り足探りしながら階段をようやく下りて、脱衣所に辿り着きました。
脱衣所の中に普通のお風呂があり、そこからさらに下っていくと天然の露天風呂になっています。
温泉に浸って一息つくと、時間を忘れて仲間と流れ星を数えていました。
― オギャー、オギャー ―
突然、暗闇の中から赤ん坊の泣き声がしました。
― 親子連れが入っているのかな? ―
その泣き声はだんだん大きくなってきました。
わたしたちはキョロキョロと辺りを見回し、泣き声の主を探しましたが、見つけることが出来ません。
泣き声もやがて遠ざかっていきました。
気味が悪くなったわたしたちは、慌てて露天風呂を後にしました。
車に戻ると、男の人がいました。
その人は「夜中は入らないほうがいいよ」と忠告しました。
その人に今起きた現象を話したところ、
かつて、ここで父親がわからない子を産み落として、川に流した事件があったことを教えてくれました。
「何かあってもこの暗さじゃ助けようがないからな」
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